相対湿度と絶対湿度、ギターなどの楽器に重要なのはどっち?国産、高級、柾目の楽器が割れにくい理由も解説

相対湿度と絶対湿度 メンテナンス

木でできたギターを始めとする楽器の保管には湿度が重要です。でも、湿度には「相対湿度」と「絶対湿度」の2種類の湿度があります。楽器の保管の際に気を付けなくてはいけないのはどちらなのか解説します。

相対湿度と絶対湿度の違い

まずは相対湿度と絶対湿度の違いについてです。

相対湿度は空気中に存在できる水蒸気量の限界に対する水蒸気量の割合を示す

相対湿度は、空気中に存在できる水蒸気量の限界に対する、現在存在する水蒸気量の割合を示すものであり、単位は%です。

空気中に存在できる水蒸気の量には限界があり、これを超えると結露などのように水蒸気ではなく水になってしまいます。あとどれくらい水蒸気が存在できるかを示すのが相対湿度なのです。

天気予報などでいわれる「湿度」は「相対湿度」のことを示しており、多くの人にとってよりなじみがあるものといえるでしょう。

今日は乾燥している、湿っぽいといった感覚的なものもこの相対湿度に基づいています。

絶対湿度は空気中に含まれる水蒸気の量を示す

一方、絶対湿度は1立方メートルの空気中に含まれる水蒸気の量を示します。単位はg(グラム)/立方メートルです。

こちらはあまり天気予報などでは使われず、聴いたことがないという人も多いでしょう。

なぜ2種類の湿度が存在するのか

「相対湿度」と「絶対湿度」の2種類の湿度が存在するのは、空気中に存在できる水蒸気の量は温度によって変わるためです。

この量は飽和水蒸気量と呼ばれ、たとえば気温が35度のときは39.6g/立方メートルなのに対し、5度の時は6.79g/立方メートルとかなり少なくなります。

このため、相対湿度だけだと実際にどの程度の量の水蒸気が存在するのかわからず、絶対湿度だけだとどの程度空気が乾燥しているかがわからないのです。

ちなみに、絶対湿度を計測できるものはあまりありませんが、温度と相対湿度から計算可能です。

楽器には相対湿度が大切

楽器にとって大事なのは相対湿度です。

湿度によって楽器に影響が出るのは、木材が水分の吸収/放出によって寸法が変わるためであり、最大10%程度の膨張や収縮がみられ、これは相対湿度に応じておこなわれます。

木材は相対湿度が安定していれば水分の吸収も放出もおこないません。しかしながら、そこから相対湿度が下がると水分を放出して収縮し、上がると水分を吸収して膨張します。

ギターのような楽器は作られたときには隙間なくみ上げられています。そこから湿度の異なる環境に持って行くことにより膨張や収縮が起こり、木材の割れなどが起きてしまうのです。

外国製の楽器が割れやすいのは作られたときの相対湿度が日本と違うから

よく外国製の楽器は割れやすいといいます。これは、外国の相対湿度が日本と異なることが原因です。

たとえば湿度が低い国で作られた楽器を夏の日本に持ち込んだ場合、相対湿度が上がるので木材が水分を吸収して膨張します。

逆に湿度が高い国で作られた楽器を冬の日本に持ち込めば相対湿度が低く収縮するでしょう。

日本で作られた楽器であれば、ユーザーが使う環境と同じような相対湿度で作られるため、湿度による影響が少ないのです。

高い楽器が割れにくいのはよく乾燥されているから&柾目だから

また、高い楽器や柾目の木で作られた楽器は割れにくいことが多いです。

高い楽器が割れにくいのは、長い年月をかけて乾燥した材料を使っているためといわれます。

生木の場合含水率が40%から80%以上あるのですが、前述の通り湿度変化によって10%くらい膨張や収縮をします。

これに対して含水率が低くなるほど膨張率が下がり、湿度の影響を受けづらくなるのです。

また、柾目の材料を使った楽器も割れにくいです。これは柾目の方が板目よりも膨張率が低いためで、壊れにくい楽器を選ぶなら柾目の方が良いかもしれません。

湿度計と調湿剤を使って楽器を管理するのがおすすめ

楽器を湿度の変化から守るには、湿度計と調湿剤を使って管理するのがおすすめです。

湿度計は相対湿度を計測するためのもので、設置すれば低くなりすぎたり高くなりすぎたりした際に素早く対策することができるでしょう。

私のおすすめはスマホと連携して湿度が下がりすぎたり上がりすぎたりしたらすぐに通知が来るタイプのものです。

特に、ギター内部の湿度が計測できるこちらの製品はかなり実用的と感じました。

湿度管理のついでに盗難や置き忘れを防げるものもあります。

調湿剤には色々なものがありますが、湿度を40%から60%の間で一定に保てるものを選びましょう。私は少々不格好ですが、こんなやり方をしています。

正しく湿度管理をして楽器を長く使おう

湿度管理を誤ると木材の割れなどが発生し、修理が必要になります。

修理しても元の音に戻らないこともあるでしょう。

できるだけ楽器を長く愛用するには、湿度をしっかりと管理することが重要です。

湿度について正しく理解し、楽器を大事にしてあげてください。

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