弦の感想(ハウザー編):ノブロック エリサカス バイオナイロン ローテンション(Knobloch Erithacus Bio Nylon Low Tension EDB 31.5)

4.5
ノブロックのエリサカスのパッケージ

前回に引き続きノブロック弦のレビューです。ノブロックのなかでも音の柔らかさや自然さを重視したエリサカスとバイオナイロンの組み合わせを試しました。バイオナイロンというと化学的印象を受けますが、クラシックギターのよさを引き出す魅力的なセットでした。

自然で丸みのある音を目指したセット

EDB 31.5は低音弦にエリサカス、高音弦にバイオナイロンを組み合わせたローテンションのセットです。

ノブロックというと鋭く前に飛んでいく現代的な音の印象がありますが、これはまったく反対の音を目指したセットになります。

「エリサカス」はコマドリ属の鳥を示す言葉であり、パッケージに鳥の絵が描かれています。

ノブロックのエリサカスのパッケージ

鳥がさえずるような音を目指したということでしょうか?

パッケージ裏には、低音弦は自然で丸い音、高音弦は自然で上品な音と書かれています:

最近のクラシックギターはどちらかというとメリハリのある音が多いですが、このセットはギターらしい音が楽しめそうです。

パッケージ裏をめくると、弦が落ち着くまでに最小12時間、できれば72時間おくようアドバイスが書かれています:

後述しますが確かにその通りでした。

透明度が低いバイオナイロン、低音弦はしなやか

パッケージはこのように低音弦と高音弦が分かれた形で包装されています;

前回レビューした300ADCはすべて1つのパッケージだったのですが、ロットによって異なるのでしょうか?

2弦と5弦に赤いマークがついていて、弦の区別がしやすいのは同じでした。

高音弦は透明度が低く、独特の感触です。

乳白色の見た目は、前回のレビューでも感じましたが、アクイーラのペルラと似た見た目に思います。

もしかするとアクイーラから仕入れているのかもしれません。

低音弦は300ADCに比べるとしなやかで、いかにも柔らかい音が出そうです。

音程の安定は早いが、音が落ち着くまでには3日必要

張ってみた感想としては、音程の安定が非常に早いと感じました。

前述の通り弦が落ち着くまで12時間とメーカーがいっているのですが、まさにその通りで、前日の夜に張ったら翌日の昼にはそれほど音が下がらない状態で演奏できます。

ただ、音の観点では12時間では落ち着きません。

最初は高音弦も低音弦もぼやけた印象だったのですが、3日ほど経つとメリハリが出てきます

人前で演奏するなら3日前には張ったほうがよさそうです。

柔らかくて自然だが反応はよい

音の印象としては、前評判通り、自然で暖かい音と感じます。

カーボン弦などの現代的な弦は鋭い音が出る一方で柔らかい音は苦手ですし、どこか金属的な印象の音が出ますが、バイオナイロンはあくまで自然な音です。

自然といってもぼやけているということはなく、弾き方の変化に対する反応がよく、音質や音量をしっかりコントロールできます

低音弦も鈍重な印象は全くなく、ほどよい金属線の音を伴いながら、あくまで音が自然で柔らかいです。

バイオナイロンは3弦のぼやけとサステインの短さが気になるか?

一方、バイオナイロンは3弦が少々ぼやけ気味なのと、サステインが短いのが気になります。

3弦が鳴らないということではなく、自然で洗練された音を出すために鋭い音の成分が抜け、アタックがつけづらいということです。音量はしっかり出ます。

ぼやけ気味の分、カーボン弦に比べると音の分離は悪いと思います。

また、サステインに関してはもう少し伸びてほしい気もしますが、これはこれで自然ということでしょうか。

低音弦はもう少し重みがあっても

低音弦に関しては音の重みがもう少し欲しいと感じました。

自然で柔らかく、丸みがある音ではあるのですが、その代償としてドーン!という音の重みが感じづらいです。

これはローテンションを選んだせいもあるかもしれませんので、よりテンションが高いセットを選べば印象が変わるかもしれません。

弾いていて指も耳も疲れない弦

EDB 31.5は自然で丸みのある音と低いテンションで、弾いていて指も耳も疲れないだと感じました。

カーボン弦や現代的な芯線を使った低音弦のように迫力ある音がでるわけではありませんが、音量はしっかりと出ますし、音質の変化もつけやすいです。

その上疲れにくいので、ついついギターを長く弾いてしまいます。

相変わらずノブロックは日本での入手性が悪く、エリサカスも気軽に買えるわけではありませんが、気分を変えるにも常用するにもよい弦です。

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