電子楽譜は便利で実用的か? GVIDOやiPadでの実現方法

GVIDO ギター用品

スマホやタブレットの普及に伴い、様々なものが電子化されています。楽器を趣味とするものにとっては楽譜もその対象の一つです。現在の電子楽譜事情はどのようになっていて、すでに実用的なのでしょうか?

電子楽譜のメリットとは?

まずは楽譜を電子化するメリットについて考えてみたいとと思います。

大量の楽譜を簡単に保管/持ち運びできる

電子楽譜のメリットは何といっても大量の楽譜を簡単に保管/持ち運びできるところにあります。

楽器を長くやっている人なら楽譜の保管場所に困ったことは一度や二度ではないでしょう。また、大量の楽譜の中から目当ての楽譜を探すのも一苦労です。

電子楽譜なら保管も検索も簡単です。クラウド上に保管するサービスもあるようなので、これならいつでもどこでも使えます。

譜めくりが簡単

2ページ以上ある楽譜だと譜めくりという作業が発生します。

おそらく、声楽をのぞくほとんどの楽器は手を使うのでこの譜めくりという作業は厄介です。演奏を一時的に止めて譜めくり作業を行う必要があります。

電子楽譜なら足に設置するスイッチでめくることができるので演奏を止めることなく譜めくりすることができます

また、自動スクロールによって譜めくりを行う機能があるので、スクロールの速さと曲の速さを合わせれば自動化も可能です。

譜面への書き込みは消去、共有が簡単

譜面には演奏方法や運指などを書き込むことがよくありますが、紙の譜面に書くと失敗した時に消すのが難しかったりします。

また、一度書いたものを別のものに書き直したいこともあります。

電子楽譜ならこういった作業も楽々です。

最近はオーケストラで共通の書き込みを共有できるサービスもあるようなので、指示の不伝達や間違いを防ぐこともできます。

(理想的には) 楽譜の購入が簡単

楽器の楽譜はなかなか身近な店では売っておらず、専門店で購入する必要があります。

距離的にも時間的にも遠いですが、電子譜面ならネット上で購入すればすぐに買えます。

もちろん、これは購入したい楽譜がすべて電子化されて販売されたら、の話です。現状はまだまだそこまで至っていないようです。

専用端末はとにかく高い!

と、良いことだらけの電子楽譜ですが、残念ながら普及には至っていません。

その一番の理由は私は専用端末の価格にあると思います。

GVIDOは定価180,000円(税別)

日本で最もメジャーな電子楽譜専用端末は山野楽器が販売しているGVIDOです。

このGVIDO、

  • 楽譜っぽい2画面の見た目
  • 電子ペーパーで見やすい
  • 4,000曲を内蔵メモリに格納可能

など素晴らしいスペックなのですが、定価が180,000円。。。世の中の趣味で楽器をやっている人の中でどれくらいの人が180,000円以上の楽器を使っていることでしょう。。。

これに足で譜面をめくるフットスイッチが30,000円:

本体カバーが30,000円という価格です:

私ならこの10分の1の価格だったら買っても良いと思いますが、電子楽譜にしか使えない端末とその専用オプションをこの価格で買う財力はありません。。。

なぜ電子楽譜専用端末はこんなに高いのか?

なぜGVIDOはこんなに高いのでしょうか?

売れる台数が少ない

一番の理由はやはり売れる台数にあると思います。

たくさん売れればそれだけ安くなるのでしょうが、数が出ないとどうしても値段を高くせざるを得ません。

電子ペーパーが高い

もう1つは、どうやら電子ペーパー自体が高いようです。

たとえば、10インチのAndroidタブレットがこんな価格です:

BOOX Tab Ultra 10.3インチ電子ペーパー GooglePlay搭載 Android11 EInk タブレット
SKTSELECT
【動作速度を極限まで高めるBSR(BOOX Super Refresh)搭載】新たに開発されたBSRの搭載により、全ての動作において応答性が高まり、快適な操作体験を得られます。高速リフレッシュのための独自のGPUとマルチタスクのためのクアルコム8コアCPUのおかげで、Tab Ultraは生産性を向上させるための並外れたパフォーマンスを発揮します。【まるで紙に印刷しているかのように表示されるフルラミネートディスプレイ】フルラミネートディスプレイは、タッチレイヤーが従来よりも50%薄くなったため光透過率が30%向上しました。表示された文章を目やペン先に近づけることができるようになりました。よりはっきりとした視界と快適なタッチ動作によって、まるで本物の紙を取り扱っているような気分になります。

安いものなら1万円ほどで買えるカラー液晶に比べるとかなり高価であることがわかるかと思います。

これも数が出ないという理由なのでしょうが、目に優しくて見やすい電子ペーパー自体がなかなか用途がないのでしょうね。

GVIDOが2022年3月末日で販売終了に

さすがに高すぎて売れなかったのか、GVIDOは2022年3月末日で販売終了となりました。

コンセプトは良かったので、安価なデバイスの登場に期待したいです。

iPad + piascoreを使うのが趣味で楽器を演奏する人の現実解か?

ちょっとGVIDOは高すぎるので他の手を、と考えるとiPadにpiascoreというアプリを組み合わせのが現実的です。

iPad Pro 12.9インチならA4に近い大きさ

iPadといえば言わずとしれたタブレットの代名詞です。iPadには品質の良い液晶が搭載されているので楽譜もきれいに見ることができます。

現在のiPadは12.9インチ、11インチ、10.5インチ、10.2インチ、7.8インチとさまざまなディスプレイサイズのモデルが販売されています。

コピーでよく使われるA4とサイズを比較すると、

高さ
A4297 mm210 mm
12.9インチ280.6 mm214.9 mm
11インチ247.6 mm174.1 mm
10.5/10.2インチ250.6 mm174.1 mm
7.8インチ203.2 mm134.8 mm

となっています。実際にはディスプレイには外枠がありますが、楽譜にも周辺には空白があるのでそこは考えないということで。。。

A4サイズに近いほうが良ければ12.9インチのiPad Pro一択です。

Apple iPad Pro (12.9インチ, Wi-Fi, 64GB) - スペースグレイ(第3世代)
Apple(アップル)
エッジからエッジまで広がる12.9インチLiquid Retinaディスプレイ(ProMotionテクノロジー搭載、True Tone、広色域)

が、その分お値段もお高めです。10.2インチのiPadならかなり安くなるので、楽譜を置く位置を近めにすればこれでもいいかと思います。

これらにこういったスタンドを組み合わせれば完璧です:

さすがに7.8インチのiPad miniやスマホは小さすぎるかとは思いますが。。。

iPadはGVIDOと違い、タブレットPCとしても使えるので最悪電子楽譜として使えなくても無駄にはなりません

楽譜表示/管理アプリ piascore

このiPadと合わせて使いたいのが楽譜表示/管理アプリであるpiascoreです。

‎Piascore – スマートデジタル楽譜リーダー
‎** 世界で5,000,000人のミュージシャンが、使ってます! ** ** iPad Pro & iPhone 15 に完全対応! ** Piascore は、ピアノやギターなどの楽器を演奏する人のために作られた、iPad/iPhone...

このアプリ、電子楽譜らしく楽譜の表示や書き込みができるのは当たり前で、他にも様々な機能があります。

IMSLPから無料楽譜を直接ダウンロードできる

IMSLPというのは以前の記事で紹介した、著作権の切れた楽譜を無料で公開しているサイトです。

piascoreはこのサイトから楽譜を検索し、直接ダウンロードすることができます。

つまり、ふとあの曲が弾きたいと思ったときに、パソコンなどでダウンロードして、、、とかやらずに直接入手できるわけです。これは便利です。

カメラで紙の楽譜を撮影して取り込める

手持ちの楽譜の電子化を考えるとスキャナでスキャンして、PDF化して、、、とか面倒な作業を考えますが、piascoreはカメラで直接紙の楽譜を撮影してPDF化できます。かなりお手軽です。

安いデバイスで足で譜めくりできる

GVIDOに比べればかなり安いデバイスで足の譜めくりが可能です。たとえばこのデバイス:

IK Multimedia iRig BlueTurn モバイルBluetoothフット・ペダル【国内正規品】
IK Multimedia(アイケーマルチメディア)
Bluetooth LE対応 バックライト内蔵ワイヤレス・フットスイッチ

iPadはGVIDOと違い1画面しかないのがデメリットですが、フットスイッチを使った譜めくりを行えばこのデメリットは解消できそうです。

また、自動スクロールもできるようなので、タイミングを調整すればこれすら不要かもしれません。

iPadを横にすれば2ページ表示も

もちろん、iPadを横にすれば横長画面になるので、2ページを同時に表示することも可能です。

ただ、大きなディスプレイのiPadでないとつらいかもしれませんね。。。

メトロノームやチューナー機能も呼び出せる

何でもできるタブレットPCだけあって、piascoreからメロとノームやチューナーを直接呼び出すことができます。

つまり、これらも持ち運ばなくてもよくなります。

これも地味にうれしいところです。

書き込みをカラーでできる

間違いやすい臨時記号や指示記号は目立たせたいところですが、piascoreとiPadの組み合わせならそれができます。白黒のGVIDOではできない点です。

青とか赤にしておけば白黒の譜面の上で目立たせることができそうです。

GVIDOに劣る面もある

もちろん、専用端末であるGVIDOに劣る面もあります。

まず、液晶が目に優しい電子ペーパーでないところが一番でしょうか。どうしても紙に比べると荒くて光の強い液晶なので、長時間見ていると目が疲れているかもしれません。

また、メールやニュースなどの通知が来ると譜面がさえぎられたり音が鳴ります。演奏中は機内モードにしておく必要があるかと。

バッテリーの持ちにも注意です。便利なので普段からiPadを使うことになるかと思いますが、よし楽器を演奏しようと思ったらバッテリー切れということもあるかもしれません。

パソコンとMobilesheetsを使う手も

iPadとなると敷居が高いかもしれませんし、12.9インチのiPad Proはそこそこ値が張ります。

このため、WindowsパソコンとMobilesheetsというアプリを使う手もあります。

Windows搭載タブレットの方が安い

実はWindows搭載タブレットも売られておりiPadよりも安いです。

たとえば12.3インチのディスプレイのものでもこの値段です:

外に持ち出すことを考えなければ17インチや21.5インチというものもあります:

こういったものを使えば2ページ見開きで表示してもまったく問題なさそうです。

Mobilesheetsアプリで楽譜を表示

そして、Windowsにも楽譜を表示するアプリであるMobilesheetsがあります

対応している機能はpiascoreとあまり変わらなさそうです。フットスイッチを使った譜めくりも可能です。

まずはMobilesheetsを手持ちのパソコンに入れて使い心地を確認するのがいいかもしれません。

AndroidにもMobilesheetsアプリがある

そして、もう1つのタブレットといえばAndroidタブレットですが、これにもMobilesheetsアプリがあります:

MobileSheets Trial - Apps on Google Play
MobileSheets is a sheet music viewer with powerful tools for musicians.
MobileSheets - Apps on Google Play
MobileSheets is a sheet music viewer with powerful tools for musicians.

残念ながら大画面のAndroidタブレットはあまりありませんが、10インチクラスであればいろいろと安いのがあるのでお勧めです。

iPhoneやAndroid搭載のスマホでも電子楽譜は使える

今や誰もが持っているiPhoneやAndroidスマホでも電子楽譜は使えます。

具体的なやり方はこちらの記事を参照ください。

なかなか普及しない電子楽譜、今のところ将来的な展望もない

このようにニッチではありますが、電子楽譜を実現できる環境はすでに整っています。

しかしながら、スマホやタブレットなどのように来年こんな端末が出る!とかこんなサービスが出る!という情報はまったくありません。

やはり専用端末が現実的な値段で売られないと普及は厳しいような気はします。

私も大量の楽譜を何とかしたいという気持ちはあるのでいずれ電子化したいとは思っていますが。。。iPadにするかそれとも待つか。。。難しいところです。

(追記) 大日本印刷が電子楽譜を推進するというニュースが!!

大手総合印刷会社あである大日本印刷が電子楽譜を推進するというニュースが出てきました。

これで一気に普及が進む可能性もあるかもしれません。

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