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トーレスのクラシックギター FEとかSEって?代表的な楽器にはどんなものがある?

クラシックギター製作家のアントニオ・デ・トーレス楽器
楽器 豆知識

アントニオ・デ・トーレスといえば現在のクラシックギターの形を作った名工です。その名前は知っていても作った楽器の詳細については知らない人も多いかと思います。この記事ではアントニオ・デ・トーレスの代表的な楽器と基礎知識について書きたいと思います。

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クラシックギターを大音量化しコンサートに使える楽器にしたトーレス

アントニオ・デ・トーレス(Antonio de Torres)は1817年にスペインに生まれたギターの製作家です。

その功績はそれまで音量が小さい楽器であってギターに対して様々な改良を施したことでコンサートでの演奏に使えるような楽器にしたことといわれています。

トーレスは1892年に亡くなっていますが、今でも「トーレスモデル」と呼ばれるトーレスの作った楽器と同じ設計でクラシックギターを製作する製作家が多数いるほど影響力は大きいです。

トーレスのギターにつけられているFEとかSEって?

トーレスの楽器にはそれぞれFEおよびSEから始まる型番がつけられています。

これは、トーレスの研究家であり村治佳織も使っているギターの製作家でもあるロマニリョスがそれぞれの個体を識別するためにつけた番号です。

FEはFirst Epochの略で第一期、SEはSecond Epochで第二期を意味します

実はトーレスは1842年にギター製作をはじめ、あまりにもギターの製作及び研究に没頭しすぎた結果、家計が悪化してしまい1869年にギター製作を中断します。この中段までの期間が第一期(First Epoch)です。

その後、1875年にギター製作を再開し1892年に亡くなるまでの期間が第二期と呼ばれています。

ちなみに、ロマニリョスのトーレスのギターについての研究は書籍化されており、日本語版もあります。

残念ながら絶版となっているのかプレミアム価格となっているようです。

トーレスが制作した代表的なギター

それではここからはトーレスが制作した代表的なクラシックギターを紹介したいと思います。

トーレスは生涯にわたってギターの研究を続けており、多種多様なギターを作っています。その成果があってこその現在のクラシックギターなのでしょう。

FE04 “La Leona” (レオナ)

Wikipediaより

おそらくトーレスのギターの中でもっとも有名な楽器です。トーレスが1856年に製作した楽器です。

Wikipediaより

レオナとはメスのライオンを意味します。このギターの放つ音がオスのライオンのように猛々しいことからライオンの名をつけたのですが、スペイン語ではギターは女性名詞のため、メスライオンを意味するレオナになったそうです。

このギターはトーレスが後に作るギターの基となったギターといわれており、トーレスが生涯手放すことはなかったそうです。

現在はドイツのコレクターが所持しているそうです。

日本でも1983年製作家5人がトーレスの楽器を分解して精密に設計図を作り、それをもとに「LEONAギター」と呼ばれるギターを製作しています。さすがに分解したのはLa Leonaではないとは思いますが。。。

FE08 “La guitarra cumbre”

これも現代のギター製作家が良くコピーモデルを製作するモデルです。

“La guitarra cumbre”は最高のギターを意味します。トーレスはこのギターでセヴィリアで開催債れた万国博覧会で銅メダルを受賞しました。そのためこのように呼ばれているのかもしれません。

万博に出品するためか凝った装飾となっており、裏板は4ピースのバーズアイメープル、側面板もバーズアイメープル、表面板は2ピースのスプルースです。また、真珠貝を使ったロゼッタなど非常に美しい楽器です。

日本でも中野潤さんがFE08モデルを作っており、その姿はこちらのページで見ることができます。

FE14 ボール紙を使ったギター

世にも珍しい、裏板と横板を紙で作ったギターです。

トーレスは表面板こそがクラシックギターにとって重要だと考えていました。そして、裏板や側面板は重要ではないと思っていました。

そのことを証明するため、1862年に表面板はスプルース(松)で作成し、裏板と横板はボール紙をシダーと針葉樹の木で補強したものを使ったギターを製作しました。これがFE14です。

このギターは現在バルセロナの博物館に収蔵されています。FE14のコピーモデルはこちらのページで見ることができます。

現在では裏板や側面板に使われるローズウッド系の木が枯渇していることもあり、このトーレスの考えが再び見直されています。以下のページを参照ください:

FE17 トーレスの個人用ギター

トーレスが個人用に1864年に作成したギターです。

その後、若き日のタレガが1869年に工房を訪れた際に彼に売っています。エミリオ・プジョールはこの楽器こそトーレスの最高の楽器と呼んだそうです。

表面板は松、裏板はメープル(楓)です。

タレガはギターを弾く際によくタバコを吸っていたことから、この楽器にはたばこの焦げ跡が散見されるそうです。

タレガはこのギターをしばらく使ったのち、古くなったことから別のトーレスの楽器に買い替えています。

その後、アルゼンチンの裕福な家庭に売却され、プジョールが発見した時にはかなり壊れていたのだとか。

2007年にオークションで157,000ドル(約1700万円)という価格がつきました。おそらく一番高価なクラシックギターでしょうか?

FE17のコピーモデルはこちらのページで見ることができます。

SE99 セレドニオ・ロメロが購入したーギター

セレドニオ・ロメロといえばクラシックギター界のロイヤルファミリー、ロメロファミリーの筆頭です。

そんなセレドニオ・ロメロが83歳で肺がんで入院し酸素マスクをつけているときに息子のペペ・ロメロから「トーレスのギターが売りに出ている」という情報がもたらされました。

それを聴くとセレドニオ・ロメロは起き上がり酸素マスクを外し、「買え!」と叫んだのだそうです。

そして再び寝て酸素マスクをつけたのですが、ペペは「でもそのトーレスは高いんだ」というとセレドニオ・ロメロは再び起き上がり「フレタを売れ!」といったのだそうです。セレドニオ・ロメロは楽器コレクターでした。

ペペが「トーレスはすごく高いんだ」と返すと、セレドニオ・ロメロは三度起き上がり酸素マスクを外し、「フレタを2つ売れ!」と叫んだそうです。

そして、ペペは言われた通り2つのフレタを売り、1886年製のトーレスのギターを購入しました。これがSE99です。

ギターの中をのぞくと、なんとその中にはセレドニオ・ロメロがかつて使ったメモ用紙が使われていたのだとか。セレドニオ・ロメロはサントス・エルナンデスとよく会って話をしてたのですが、その時に煮詰まってしまったアイデアを書いた用紙を捨てていたのだそうです。その用意をサントス・エルナンデスが拾って楽器の修理に使用していたのだとか。巡り巡って返ってきた感じですね。

現在でもロメロ・ファミリーがこの楽器を所有しているそうです。

SE114 フランシスコ・タレガのギター

このギターもタレガによって使われたギターです。

1888年に作られたこのギターは2ピースのスプルースとブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)で作られています。

残念ながらFE17と同じくこのギターにもたばこの焦げ跡があるそうです。

SE114のコピーモデルはこちらのページで見ることができます。

縁はないだろうけど興味は尽きない

FE17が1700万円という値段を聞いて今後も縁はないだろうなぁと思いながら、クラシックギターを弾いている人ならだれでも興味があるのがトーレスのギターかと思います。

今でもは博物館収蔵クラスの価値でしょうし、今後も上がっていく一方でしょう。

しかしながら、トーレスの成果は我々が使っているどのギターにも息づいています。トーレスに思いをはせながら自分のギターを弾くのもいいのではないでしょうか。

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