ギターを拭くためのクロス(布)、なぜセーム革がおすすめ?使ってはいけないものや選び方も解説

桜井正毅 Maestro-RF Maestro-RFのレイズドフィンガー部分ギター用品

ギターの日頃のメンテナンスに欠かせない、楽器を吹くためのクロス(布)。一般的にはセーム革がおすすめとされていますが、なぜなのでしょうか?また、身近にあるものの中には楽器を拭くのに使ってはいけないものもあるので解説します。

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ギターを弾き終わったら毎回から拭きしてほしい

皆さんはギターを弾き終わった後、毎回から拭きしていますでしょうか?

ギターを弾き終わった後にから拭きすることで色々なメリットが得られます。

きれいな見た目になり気持ちいい

最初のメリットは、クロスで拭くことによりきれいな状態を保てるというものです。

ギターという楽器には美術的な要素もあり、常に美しい状態で弾いてあげたいものです。

弾きやすくなる

きれいな状態を保つことで弾きやくなるというメリットもあります。

たとえば、ネックの裏に汚れがたまると指が滑りづらくなりますし、ボディの汚れがなくなれば滑り止めの効きも良くなるでしょう。

故障の予防につながる

ボディ全体をから拭きする際、目や触感でギターの状態を確認できます。

これより、たとえば木の割れを早期に発見でき、重大な故障につながる前に対処できます

また、ネックを拭く際にフレットが飛び出していることに気づいたり、逆に引っ込んでいることに気づいたりしたら、それは湿度管理がうまくいっていないということです。

セラック塗装の白濁防止につながる

高級なギターに使われるセラック塗装には、水分に弱いという弱点があります

水分に触れると塗装が白濁してしまうのですが、水が直接触れたときだけでなく、体から出る汗や水蒸気も白濁につながります。

から拭きすることでギター表面の水分を除去することができ、美しい塗装を長く保つことができます。

楽器に使うクロスといえばセーム革、特にキョン

昔から楽器を拭くために使うクロスといえばセーム革が有名です。

特にキョンのものは良いとされています。

これはなぜなのでしょうか。

セーム革とは?

セーム革とは、鹿の革をなめしたもののことです。

セーム革はコラーゲンの分子が絡み合って皮の繊維を構成しており、極細の繊維によってさまざまな汚れを絡め取ってくれます。

ギターの塗装を始め、楽器の塗装には繊細なものが多く、柔らかい極細の繊維でないと傷がついてしまいます。

このため、化学繊維がなかった時代からセーム革は重宝されているのです。

セーム革は楽器以外にもカメラ、時計、めがねなど、さまざまなものに使え、耐久力も高いので長く使うことができます。

キョンのセーム革とは?

一口にセーム革といってもさまざまな鹿から作られており、なかには豚や羊を使ったものもセーム革と呼ばれて売られていることがあるようです。

その中でも最上級とされているものが、中国に生息する鹿の一種である「キョン」を使ったセーム革です。

HOSCOによると、キョン革の繊維は0.00000015mmという細さなのだとか。

ちなみに、日本人女性の髪の毛の太さは約0.08mm、繊細なレンズに使うめがね拭きの繊維でも0.002~0.006mmなので、いかに細いかがわかるでしょう。

ポリッシュを使わずにギターをきれいにできる

汚れを取り除くにはクロスの繊維の太さが重要です。

繊維が細ければ細いほど、さまざまな汚れを繊維の中に絡め取り、離しません

このため、通常のクロスだとポリッシュを使わないと取れないような汚れも、セーム革を使えば取れてしまいます。

楽器の表面を削り取るポリッシュを使う機会が減れば、楽器へのダメージが減りますし、ランニングコストも抑えられそうです。

お値段は高め

高性能なセーム革ですが、値段は高いです。

たとえば、HOSCOのキョンセーム革は25x25cmというサイズで6,600円(定価)します。

一方、キョンのセーム革なのに20x20cmを2枚で1,000円ほどのものもあります。

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💥【キョンセームとは】キョンセームクロスは柔らかい天然の本革で、通常は鹿革、綿羊または山羊の革を使用して、熟成・アルカリ膨醇ナメシ後鱈肝油還元・脂肪除去などの加工によって作られた高級クロスであります。最高級品は、中国東部に生息する偶蹄目シカ科で鹿の中では、最小のキョン種です。人工スーパークロスと異なり、天然のセーム革はより柔らかくて極上の使い心地です、またもっと長い寿命で。

セーム革は天然素材なので、元の材料の善し悪しで大きく値段が変わるのでしょうね。

人工繊維でも悪くはない

では、ギターに使うクロスはセーム革一択かというと、そういうこともありません。

セーム革は分厚く、細かいところを拭くのが難しいときもあります。

人工の繊維も化学の発展とともに改良され、良いものになっています

たとえば、モーリスのMCC-2というクロスは、ベリーマXという繊維を使っています。

これは以下の画像のように花びらが開いたような構造を持つ繊維で、皮脂汚れも洗剤を使わずに拭き取ることが可能です。

非常に細い繊維で、世界一周分の長さになっても453gにしかならないのだとか。

一般的には、有名楽器メーカーが「楽器用」として販売しているものであれば問題は無いでしょう。

私も最近、このモーリス MCC-2に買い換えたのですが、非常に拭き取り性能が高く、コストパフォーマンスが高いと感じました。

とはいえ、繊維の細さが段違いなので、できるだけ楽器を傷つけたくないならキョンのセーム革の方が良いかもしれません。

ギターを拭くのに使ってはいけないものは?

逆に、ギターを拭くのに使っては行けないものがあります。

ティッシュやペーパータオル

おそらくどの家庭にも身近にあるであろうティッシュですが、ギターを拭くのに使ってはいけません

ティッシュは柔らかいように思えて繊維が太く、塗装を傷つける原因になります。

ペーパータオルも同様の理由でNGです。

タオル

タオルもやはり一般的に繊維が太いです。

ギターを拭くのに使うのはおすすめできません。

シリコンクロス

拭いたものにつやを出す効果があるシリコンクロスもおすすめできません。

シリコンクロスは、布にシリコンを含ませたもので、シリコン自体は有害ではないといわれています。

しかしながら、シリコンに含まれる不純物や、シリコンを布に含ませるために使用する有機溶剤がギターの塗装に良くないため、

  • ギターに使える
  • セラックなど、自分のギターの塗装に使えると明記してある

という条件がない限りは避けた方が良いと思います。

ボディを拭く布と弦を拭く布は分けよう

もう1つお伝えしたい注意点は、ボディを拭く布と弦を拭く布は分けた方が良いという点です。

低音弦はさびやすく、水分や油分を拭き取ることで寿命を長くする効果が期待できます。また、高音弦のナイロンも水分を吸いやすい素材です。

このため、弦も拭いた方が良いのですが、弦を拭いたときに巻き弦のメッキや金属片が布につく可能性があります。

いくら極細繊維の柔らかい布を使っていても、金属がついた布でギター本体を拭いたら傷だらけになるでしょう。

ちなみに、弦の汚れを取るためのアイテムもあり、以下の2つの記事で紹介されているものを使うと便利です。

正しくクロスを使ってギターをきれいに保とう

ギターを拭くことで、きれいになるだけでなく、弾きやすくなったり故障を早期に発見できたりする効果があります。

クロスとして最上級のものはキョンのセーム革ですが、化学繊維のものでもギター用であれば問題ありません。

ただ、身近にあったとしてもティッシュなど使ってはいけないものもあるので注意してください。

日頃からお世話になっているギターに感謝を込め、正しくクロスを使ってあげてください。

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