「ギター奏法のすべて」を読んだ感想 初心者だけじゃなくすべてのクラシックギター弾き必携の「参考書」

ギター奏法のすべての表紙 楽譜/教則本

以前の記事で紹介した「ギター奏法のすべて」をようやく読めました。宣伝文句にたがわず、非常に実用的な奏法解説本でした。

基本的な奏法からマニアックな奏法まで網羅

この本、初心者向けのクラシックギター奏法解説本ではなさそうです。目次は以下のようになっています:

ギターの構えから始まり、アルアイレ、アポヤンドと続き…までは初心者向けですが、Part3の特殊奏法の最後になると「糸蔵の部分の弦を弾く」とか「曲の途中で弦を緩める、締める」とかの解説まで現れます。

おいおい、それってディアンスのリブラソナチネとヴィラロボス賛歌専用では?と思いきや、これらの奏法が使われる他の曲まで紹介されています。そんな曲知らなかった的な曲も盛りだくさんです。

Par4のフラメンコ奏法が充実しているのも特徴で、クラシックギター弾きが「なんとなく」で弾いているものを詳しく解説してくれています。

基本的な奏法も実用的に解説

また、それぞれの奏法がかなり実用的に解説されているのも特徴です。

たとえば、「スル・タスト」、「スル・ポンティチェロ」の解説では、普通なら柔らかい音でと硬い音でだけしか書かれないところがより具体的にこれらの支持についてどのあたりのフレットで弾くとか、なぜなのかとかまで開設されています。

また、奏法によってはそれをよりうまく弾くにはどの練習法が良いとかまで書かれていて、それが現代ギター社の出版じゃなかったりして、かなり本気です。

現代の一線のギタリストが名前付きで解説

この手の教本では一人のギタリストが最初から最後まで内容を書いていることが多いです。そして、昔のギタリストが書いている場合が多いのですが、この「ギター奏法のすべて」では現代の第一線のギタリストたちがそれぞれの奏法を解説しています

具体的には、

  • 新井伴典
  • 益田正洋
  • 角圭司
  • 田辺昌央
  • 尾尻雅弘
  • 松尾俊介
  • 山田岳

といった方々が、それぞれの項目を解説しています。

ギターの奏法は時とともに少しずつ変わっていくものなので、現在の第一線の方々が解説しているというのは非常に良いと思います。

フラメンコ奏法にクラシックギタリストではなくフラメンコギタリストの長谷川暖を起用しているのも良いと思います。

DVDによる動画での解説で間違いなく理解できる

この本にはDVDがついており、言葉だけでは理解が難しい奏法を動画で具体的に見せてくれています

従来の教本だとどうしてもわかりづらいところがあり、レッスンを受けないと自己流の奏法になってしまいがちですが、動画があればそんな心配もありません。

欲を言えばDVDだけじゃなくネットでの動画配信の形も取ってほしかったとも思います。もはや皆がDVDプレーヤーを持っている時代でもないので。。。

コラムが意外と役に立つ

この本にはプロのギタリストによる奏法の解説に加えて、編集部によるコラムが掲載されています。

特にこれはいいなと思ったのは「いろいろなギタリストの爪」です。

このサイトでも爪についていろいろと記事を書いていますが、爪の形や長さには大体の指針はあっても、個人差がありすぎて自分で工夫していかなくてはいけません。プロのギタリストの演奏を見る機会はあっても爪をしげしげと見る機会はなかなかないのでこれはうれしいコラムです。個人的には様々なギタリストの爪だけ集めた本を出版してほしいくらいです。

惜しむらくは白黒な上に印刷の解像度が悪すぎて目を凝らしてみないとよくわからない点です。。。

また、ギター支持具紹介はちょっと種類が少ないように感じました。現代ギターのショップで扱っているものだけ集めたのかな?手前味噌ですが、当サイトの支持具紹介の方が詳しいです:

クラシックギター弾き奈良一冊持っていても損はない

このように、この本は決してクラシックギターの初心者のためだけの本ではありません。

長年弾いている人でも、

  • 新しい曲に挑戦するときに知らない奏法が出てきた
  • 苦手としている奏法を克服したい
  • ふとこの奏法の弾き方はこれでいいのかと疑問に思った

時に役に立ちます。

一冊手元にあると安心ですし役に立ちます。特にプロのギタリストのレッスンを受けずに一人で弾いている人には役に立つのではないでしょうか。

ただし、この本だけでクラシックギターが弾けるようになるようなものではなく、あくまで副読本です。Pumping Nylonなどの教則本に加えて、この本を参考書的に使うと良いかと思います。

いずれにせよすべてのギタリスト必携の奏法解説本です。

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